私の妻がなくなったのは銀婚式を迎えた直後でした。私たち夫婦は地元の田舎の古いしきたりでお互いに別のいいなずけがいたのですが、それに反対し、それぞれに独り立ちして都会に出てから再会し、長い交際の末結婚しました。
親にも勘当され、地元には何十年も戻らず、子供には恵まれなかったので、血縁関係での付き合いはありませんでした。
妻の遺言で私が喪主となり、葬式を執り行うことになりました。家族葬といっても私一人では寂しいだろうと私の友人や妻の友人、会社の関係者の方などに来ていただけるように手紙をいくつも送りました。血縁的には孤独な私たちですが、それでも死ぬときは寂しいなんて思いたくない、これは自分たちがつかみ取った道なのだから最後まで笑っていられるような生き方をしたい。それが何もかもを捨てて都会に出て死に物狂いに生きてきた私たち夫婦の唯一の願いでした。
葬式にはありがたいことに妻の関係者や私の知り合いや友人、絶縁状態だったはずの彼女の弟まで親に逆らえなかった、許してくれと泣いて謝りながら姉の死を弔ってくれたのでした。
私たちの一生をかけた選択は正しかったのだ、彼女の生き方は誇れるものだったのだと納得できる葬式でした。
妻の遺体が炎に飲まれていく様は言葉では言い表せないほど悲しいものでしたが、同時に彼女に出会えてよかったとあの瞬間ほど感謝があふれたことはありませんでした。